9番人気フルデプスリーダーが制す！エルムS 重賞レース回顧分析

ダート重賞エルムSが8月7日の札幌競馬場にて行われました！

早速ですがエルムSの結果とレース映像、パトロール映像を使っての振り返りをして、レースの分析をしていこうと思います！

同日新潟メインレースのレパードSも回顧していますので是非見ていってくださいね！

2022年の3歳ダート重賞レパードSは3強ムードでしたが、7番人気のホー騎手騎乗のカフジオクタゴンが大接戦を制し優勝！レースはスタートから様々な事象があり綺麗なレースではありませんでした。パトロール映像などを使いレースを紐解き分析しました。

エルムS 結果
エルムSをレース映像とパトロール映像から分析
各馬のレース後の評価
まとめ

エルムS 結果

1着	6枠9番	フルデプスリーダー	丹内祐次	1:44.2
2着	4枠6番	ウェルドーン	武豊	クビ
3着	3枠3番	オメガレインボー	横山和生	クビ
4着	3枠4番	ブラッディキッド	水口優也	クビ
5着	7枠11番	ロードレガリス	富田暁	クビ

単勝9番人気のフルデプスリーダーが中団のポジションから鋭く伸びてクビ差差し切り優勝！丹内騎手は地元北海道で大金星！2着は2番手からレースを運んだ武豊騎手騎乗の6番人気のウェルドーン。3着は好位からしぶとく伸びた2番人気のオメガレインボーが入りました。1番人気のブラッティーキッドは4着。連勝は8でストップとなりました。

エルムSをレース映像とパトロール映像から分析

赤1着馬　青2着馬　緑3着馬　その他は黒

スタートはダノンファラオが大きく出遅れるアクシデント。逃げると予想されていたアメリカンシードはあまりスタートの出が良くなく、1つ外のウェルドーンが前に行く形に。好スタートは大外のダンツキャッスルとアイオライト。フルデプスリーダーはゲートで少しチャカついていたせいもあり若干出遅れぎみのスタートに。

もう1頭の逃げ候補1番枠のロードエクレールは最初から控えるような構え。

アイオライトはスタート良く、出していったのでそのまま先手に。2番手には前走のような感じでウェルドーンがすんなりとつける形に。

3番手には抑えたロードエクレール、オメガレインボー、1番人気のブラッティーキッドの3頭。ヒストリーメイカーもダッシュがついて好位からの競馬になりました。画像で見切れている赤の矢印が勝ち馬のフルデプスリーダーです。

1コーナーに入ったところではある程度隊列が決まっていました。勝ち馬のフルデプスリーダーはスタート後上手くリカバリーし、スムーズに馬群の内に潜りこめています。前走（マリーンS）もインの3番手から競馬をして勝っているのでなるべく内からの競馬を選択したのでしょう。

2着馬、3着馬は上手く先行。オメガレインボーはゲートも出て、楽に3番手を取れたのは意外でした。行き脚からも具合は良かったのかなと想像ができます。

1コーナーと2コーナーの中間あたりですが、この時点でフルデプスリーダーにとっては最高のポジションだったと思います。

前には2着馬ウェルドーン、内には昨年2着馬オメガレインボー、外にはブラッティーキッド。全て有力馬ですからバテてくるようなタイプではありません。

こういう時はフルデプスリーダー自身の手応えがある限りは進路取りは楽になります。

向こう正面に入ったところです。見ての通り、1〜3着馬は同じようなポジションで競馬。4着馬のブラッティーキッドも同じ位置ですから。先行有利のレースです。

ペースは1000mは62.1秒。

重賞レベルでのレースにしたらスローペースだと思います。しかし、レース全体のラップを見てみると、

6.7-11.3-12.3-12.7-12.4-12.3-12.0-11.8-12.7

この黄色区間が後ろの馬を動かさせない感じのジワジワ加速するラップを踏んでいたわけなんです。極端にペースを落としたりせず遅いながらも淡々と流れるレースだったので前半でポジションを取りに行った馬のペースになりましたね。

フルデプスリーダーの外のヒストリーメイカーがちょっと気になる感じで併走はしていたんですが、目の前のウェルドーンが手応えよかったですから、そのまま後ろをついていくように進んでいけました。オメガレインボーにとっても左前にウェルドーンがいますから位置取りは内でしたがそこまで苦ではなかったと思います。

このあとなんですが、1番人気のブラッティーキッドの手応えが少し怪しくなります。

もうこの時点でステッキが入っています。最終的にジリジリ伸びで4着にくるわけなのでバテている訳ではなく、ブラッティーキッドのまだ完成しきっていないところと言いますか、いつもこの勝負所らへんで馬が辞めてしまうんです。この重賞のメンバー相手でこの癖は治らないと今後は厳しくなりそうです。

ウェルドーンは脚が無くなった逃げ馬のアイオライトをスムーズにパスしていきます。

ここの丹内騎手が上手かったんですけど、オメガレインボーを外に出させないようにガッチリとブロックしています。外のブラッティーキッドがそんなに手応え良くて、内からステッキも入れてたんで、ウェルドーンの外に出すのも選択肢にはあったと思うんです。

自身の距離ロスを防ぐのもですが、オメガレインボーの動くタイミングを一瞬遅らせたのは結果的に大きかったと思います。

あとはどれだけ伸びるかの戦いになるのですが、ここで早めに先頭に立ったウェルドーンはフワッとしたという武豊騎手のコメントが出ています。この馬の気性的な問題が最後のクビ差に繋がったと思います。

各馬のレース後の評価

レース前の適正チェックと合わせて見ていただけたらより楽しめると思いますので是非！

エルムS 出走馬全頭評価チェック

2022年のエルムSに出走馬14頭が集結！重賞馬スワーヴアラミスや目下8連勝中のブラッティーキッドなど、出走馬全頭の血統、距離適正、コース適正を5段階で評価しました！予想のお供になれば幸いです！

1着　フルデプスリーダー

ゲートの中が少しうるさくて出遅れ。ゲートは今後も課題になると思います。その後のジョッキーのリカバリーは素晴らしく、すんなり先行集団に取り付けましたし、近くに有力馬がいたのは大きかったですね。

やはりスッと反応することはできないので蒸しながらの仕掛けになりますが、最後はキッチリ伸びていました。昨年も勝っているように、札幌や函館は相性がようですね。距離はこのくらいか、東京のような直線の長いコースがベターな印象です。まだ5歳で勢いもありますから今後も楽しみです。

2着　ウェルドーン

ペースも遅くなり、絶好のポジションで競馬ができていました。完全に勝ちパターンだったのですが、抜け出してフワッとするあたりは気性の難しさがあるのかなと思います。気難しい面を考えたら距離はもう少し短くてもいいような気はしますが、周回コースが向いているとも思うので、1700m〜1800mくらいがベストなのかなと思います。

2戦連続で惜しい競馬なので少し歯痒いですが、このメンバーでも戦えたことは評価できると思います。

3着　オメガレインボー

この馬もこれでもかっていうくらい上手くレースは運べているんですが、どうしても脚の使い所が難しいタイプ。位置を取ると最後甘くなってしまうので、ワンパンチ足りないなという馬になっているのは否めないかなと。

溜めて溜めて一気にスパートが現状はあっているのかもしれません。東京のマイルや中京1400mでジッと我慢のような競馬がイメージ合っているような気がします。今後どのレースを使うのかは注目したいです。

4着　ブラッティーキッド

先ほども書いた通り、ポジションが取れても3コーナーや勝負所で気を緩めてしまうところがネックになってしまいました。最後は伸びてきているんで非常に勿体無い競馬だと思います。逆に言えばそこさえ治ればこのクラスでも通用はするので、まだ4歳と若い馬ですから成長に期待したいと思います。小回りより直線の長いコース向きだと現状は思います。

5着　ロードレガリス

展開は向きませんでしたが、最後は良く詰めてきていると思います。だいぶ外を回っていますから距離ロスは痛かったと思います。最後の脚力はやはり凄く、直線の長いコースが向いている印象は変わりません。できれば主場の競馬場で今後見たいと思います。

6着　ヒストリーメイカー

スタートして前半で位置を取れても…。といういう競馬でした。ムラも凄い馬なので展開とかも関係なしにその時の気分なのかもしれませんね。この距離でもしっかりと追走はできるのでタイミング次第でもうひと花咲かせることができれば。

8着　アイオライト

前が残る絶好の競馬だったと思うんですが真っ先に余力を無くしてしまいました。原因はわからないんですが、逃げて良さが出なくなっているのかもしれません。

9着　スワーヴアラミス

スタートで少し躓くようなシーンもあり後方からの競馬になってしまって、展開は全く向かなかったですし、斤量面を考えても58㎏は少し堪えたのかもしれませんね。年齢的なものもあるかもしれません。馬の状態は良く見えましたが、少しかわいそうなレースになってしまったなと思います。

11着　ダンツキャッスル

毎回いい脚を使って今日のようなレースの展開でもいい脚を使うんですが今回は不発でした。風の影響もあって砂をだいぶ被りながら競馬をしてしまっていたのが良くなかったのかなと思います。今回は少しアンラッキーでした。

13着　ロードエクレール

スタートから全く出していく素振りもなく終わってしまったのは何か理由がありそうです。一説だとゲート出てからリズムが悪かったようなコメントが出ているようですが、確かに騎手は軽く促しながらという競馬をしていたのでそうなのかもしれません。原因ははっきりしませんが、逃げなきゃ厳しい馬ですからこの結果は仕方がないとしか言えませんね。